システムエンジニアリング概要

ここでは、システムエンジニアリグの概要について説明しています。

システムエンジニアリングの重要性

システムエンジニアリングは誰にとって重要なのか。エンジニアのためだけのものなのか。システムエンジニアリングは、顧客、会社そして、エンジニアにとって重要なのです。顧客にとっての重要性は、顧客自身の欲しいものを明確にしてくれることから言えます。会社にとっての重要性は、コストと納期と品質のバランスをとってくっることから言えます。エンジニアにとっての重要性は、エンジニアリング作業の成果物をつくる手順を示してくれることから言えます。それぞれをもう少し詳細に見てみます。

SEの重要性

まずは、顧客の立場から見た重要性です。 通常、顧客は自分の欲しいものを明確に表現することができません。頭の中で想像しても、それは利用者の視点から見たものであり、システム開発者の視点から見たものではありません。
また、例え、顧客がシステム開発者からの視点から説明したところで、すべてを明確に表現するのは困難です。このため、システムエンジニアリング抜きでは、顧客が本当に欲しいと思っているものとは異なったものを作ってしまうということが多く発生するのです。 システムエンジニアリングをきちんと適用すれば、顧客の欲しいものを明確に表現する技術を与えてくれるので、顧客が本当に欲しているものを開発できる可能可能性が高まるのです。
欲しいものを作ってもらえるようになるということから、顧客にとってもシステムエンジニアリングは重要なのです。図にイメージを示します。この図では、顧客はノートPCのようなものを欲しています。しかし、顧客が欲しいものを明確にしていないと、デスクトップ型のPCを開発してしまう可能性があります。こういった事態を避けるため、システムズエンジニアリングを適用することで、顧客の欲しいものを明確にし、顧客の欲しているものを開発する必要があります。
但し、この場合の顧客とは、契約の相手であることもありますが、マーケティングの結果として得られる情報から推定された市場であることもあります。

顧客としての重要性

次に会社から見た視点です。
会社は、単にモノを作るだけでは存続できません。適正な利益を上げる必要があります。適正な利益を上げるためには、決められたコストの範囲において、決められた納期までに、要求される品質のものを開発する必要があります。システムエンジニアリングは、コストと納期と品質のバランスを取るための技術を与えてくれます。通常これらをまとめてQCDと呼びます。QはQuality(品質)をあらわし、CはCost(コスト)をあらわし、DはDelivery(納期)をあらわします。
もしシステムエンジニアリングを適用していなければ、例え欲しいものが作れても、それが欲しい時期から大幅に遅れていたり、大幅に高いコストのものとなってしまう可能性があります。会社としては、買ってもらえないものを開発するという損失になってしまいます。 システムエンジニアリングを適用していれば、欲しい時期に、適切なコストで、欲しいものを提供できるようになります。これにより売れる商品を開発し、利益を上げるベースとなります。
また、契約上、コスト、納期及び品質が決められている開発では、契約を守るために必要となります。
図にイメージ図を示します。システムエンジニアリングを適用しない場合、例え欲しい品質のものが得られたとしても、コストや納期が希望とあっていない可能性があります。システムズエンジニアリングを適用することでこのような可能性を減らしてくれます。 また、システムエンジニアリングを適用しない場合、そもそもコストと納期と品質の組み合わせに無理がある可能性があります。通用、どれかの要求を厳しくすると、他の要求はゆるくなる必要があります。
最近は、QCDにR(リスク)を足して、QCD+Rという言い方をよくします。この場合もリスクを減らそうとするとQCDが影響を受けます。

会社としての重要性

最後にエンジニアの視点からみた重要性を説明します。
通常、新規のシステムを開発するとき、あるいは新規でないときでも、どういった順にどういった検討作業をしていけばよいのかがわからない場合があるかもしれません。システムエンジニアリングはこういった事態を防ぐことに利用できます。
システムエンジニアリングを適用していないと、このように、今どこのいるのか、次に何をどうすればいいのかわからなくなってしまうことがあります。これに対し、システムエンジニアリングを適用していれば、今どこにいて、次に何をどうやってするべきなのかを明確に認識することができるのです。つまり、エンジニアが迷わないようにしてくれる道しるべなのです。
図にイメージ図を示します。この図では、システムズエンジニアリングがない場合に、次にどちらの方向に向かって進むべきか迷っています。一方でシステムズエンジニアリングがある場合は、明確に1つの方向に向かって進むべき道が明確となっている状態を示しています。

エンジニアとしての重要性

このように、システムエンジニアリングは、エンジニアにとって重要であるのはもちろんのこと、顧客や会社にとっても重要なものであるのです。

上記のような、システムズエンジニアリング自体の有効性に追加して、更に現在の市場環境もシステムズエンジニアリングを重要なものとしております。以下の図は、Microsoftによって示された市場の変化を表すグラフです。このグラフからもわかるとおり、昔の製品は、その市場への広がりが大変ゆっくりしたものでした。つまり、例え他社が先に製品を投入したとしても、後からその市場に食い込んでいくことが比較的可能でした。例えば、車は開発後120年近く経過していながら、まだ80%にも満たない普及率でしかないと示しています。車はもともと米国において開発されたものですが、あとから参入した日本の自動車メーカーがゆっくりとシェアを獲得してきたものです。しかしながら、PCや携帯電話など、まだまだ市場への普及率は低いですが、明らかに急速な広がりを見せていることがグラフから読み取れます。つまり、適切な時期に製品を開発・投入しなければその製品で利益を上げていくことが難しいことを示しております。
システムズエンジニアリングは、こういった事態に対応するために、適切な時期に適切な製品を投入することを支援します。

市場の変化

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