アーキテクチャフレームワーク(AF)

ここでは、EAとして日本でも話題となっているアーキテクチャフレームワークについて説明します。

アーキテクチャフレームワークの必要性

アーキテクチャフレームワークを利用することに対しては、以下のようなメリットがあると考えられます。

標準の視点およびその視点における記述(成果物)
アーキテクチャフレームワークを用意することで、標準的な視点及びその視点からの成果物の記述をすることが可能となる。具体的には後ほど詳述するが、DoDAFにおける3つの視点とそれぞれの視点における成果物の規定により、一定の標準にあった成果物を期待できるようになる。

アーキテクチャモデルのための標準データ構造
上述のとおり、アーキテクチャフレームワークによって成果物を決めることが可能となる。この結果として、アーキテクチャを記述するためのモデルを決めることが可能となる。アーキテクチャを記述するためのモデルを決めると、そのモデルを規定するデータ構造を標準化することができる。データ構造を標準化することによって、それらを使用するツール等を利用することが可能となる。また、これによりツール間でデータの正確な交換が可能となる。

アーキテクチャの枠組みを決めるための標準的なアプローチ
上述のとおり、アーキテクチャフレームワークによって成果物を決めることによって、成果物を作成するためのアプローチを決めることが可能となる。これにより組織により標準的なアプローチをとることが可能となる。

アーキテクチャ開発の効率化
上述のとおり、ツールを利用して標準的な成果物を標準的なアプローチによって作成することによって、成果物の作成、つまりアーキテクチャの開発を効率化することが可能となる。毎回独自の方法を考案する必要もなくなり、以前の成果物の再利用を促進することも可能となる。

教育が容易となる
標準的な成果物を標準的なアプローチによって作成するため、教育として、標準的なアプローチ及び標準的な成果物を教えることで、ある一定のレベルまでを知ることが可能となる。毎回個別に考案している場合は、基本的にはOJT(On the Job Training)的に身に付けていく必要があり、教育でのレベル上げが困難である。

アーキテクチャのよりよい評価
標準的なアーキテクチャの記述を行うことにより、アーキテクチャを評価する際の視点を標準的に持つことが可能となる。これによりアーキテクチャのよりよい評価を行うことができる。

異なるアーキテクチャ代替案の比較が容易となる
標準的なアーキテクチャの記述を行うことにより、異なるアーキテクチャを比較する場合に、同一の記述方法で記述されたアーキテクチャにて比較が可能となる。個別に記述が異なる場合には、必ずしも対応する記述があるとは限らないため、評価者が異なる記述のアーキテクチャを比較する場合に直接比較ができなくなり、評価者の能力に依存することになってしまう。比較が容易になる結果として、よりよい意思決定が可能となる。

コミュニケーションが容易となる
標準的なアプローチや成果物を採用することで、用語の統一ができ、用語に関して食い違いがなくなることでコミュニケーションが容易となる。同一のものを違う用語で呼んでいたり、同じ用語で違うものを意味していたりすることが通常ありえるが、標準を利用することによりこれを防ぐことができる。あるいは、実際にはそれぞれが違う用語を使用している場合でも、途中に標準の用語を介在させることでお互いの理解や合意を助けることができる。

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