アーキテクチャフレームワーク(AF)
ここでは、EAとして日本でも話題となっているアーキテクチャフレームワークについて説明します。
アーキテクチャフレームワークの例:
Federal Enterprise Architecture Framework
Federal Enterprise Architecture Frameworは、米国政府の情報システムを最適化し、コスト低減を図るためのフレームワークとして開発されたもので、世界で最初に国が定めたアーキテクチャフレームワークです。
このアーキテクチャフレームワークでは、Architectureを変更する原因として、Architecture Driverを識別しています。このArchitecture DriverもBusiness DriverとDesign Driverとが考えられています。つまり、ビジネス的な理由からArchitectureを変更する必要がある場合と、Design的な理由からArchitectureを変更する必要がある場合の両方を想定しています。
そして、現状のArchitectureを表すCurrent Architectureと、最終的な目標状態を表すTarget Architectureの2つのアーキテクチャを持っています。アーキテクチャフレームワークの定義の中に「進化」あるいは「指針」といった言葉が含まれるのはまさにこのように、時間的な変遷あるいはその方向性を示すことにアーキテクチャフレームワークが使われるからです。それぞれのアーキテクチャは、ビジネスアーキテクチャ、データアーキテクチャ、アプリケーションアーキテクチャ及びテクノロジーアーキテクチャから構成されています。
これらのアーキテクチャをあらわすためにアーキテクチャモデルが存在しています。もちろんこのアーキテクチャモデルも、アーキテクチャと同様にビジネスアーキテクチャ、データアーキテクチャ、アプリケーションアーキテクチャ及びテクノロジーアーキテクチャから構成されています。
FEAFでは、このCurrent ArchitectureからTarget Architectureへの変遷を表すTransition Processを定義しています。ここにおいて、どのようにCurrent ArchitectureからTarget Architecture移行していくかを示すこととなります。
一方で、Current ArchitectureからTarget Architectureへの移行に関して、Standardというものを示しています。これは、現在のCurrent Architectureで使用しているStandardは、将来的にはより高度なStandardで置き換わってくることを想定しているものです。つまり、将来的により高度なStandardがあらわれてくるのであれば、それに基づくTarget Architectureとなる可能性が高いからです。
例えば、現在のシステムが10Base-Tの通信帯域に基づくアーキテクチャになっていた場合、すでにStandardは100Base-Tとなっており、更に近い将来にはGigaBit通信のStandardになると考えられます。この場合、多くのデータ通信を必要とするシステムのアーキテクチャは、このStandardの変遷の影響をうけてかわることは十分に想定されるものです。
実際には、アーキテクチャモデルは、Reference Modelと呼ばれるModelの集合体を参照することで利用することが想定されています。但し、このReferenceモデルは、後から作られているものであり、必ずしも必要なわけではありません。FEAFでも述べられているとおり、モデルとしてはZachmanのArchitecture Frameworkのモデルを活用することで利用者が決めることも実際には可能です。